学童保育に適正規模はあるの?
分割しなくても指導員の数が増えれば何とかできるんじゃない?
適正規模あるよ
環境は大切だよ
今回は、学童保育の適正規模について、イオピーマンなりに簡単にわかりやすくお伝えします。
この記事を読むことで、適正規模について理解できるようになります。
そうなることで、子どもにとって最善な環境や学童保育で大切にされるべきことについて知識が深まります。
また、今回は「分割の考え方」についても言及した内容となっています。
子どもの豊かな生活は適正規模の中でこそ、守られます。
どうぞ、最後まで、お付き合いください。
適正規模の人数
適正規模の人数は、おおむね40名以下とされています。
それは、放課後児童クラブ運営指針や設備運営基準に明記されています。
第4章2.子ども集団の規模(支援の単位)
(2)子ども集団の規模(支援の単位)は、子どもが相互に関係性を構築したり、1つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと 信頼関係を築いたりできる規模として、おおむね 40 人以下とする。
放課後児童クラブ運営指針
第10条 放課後児童支援員を置かなければならない
放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準
4項「支援の単位は、放課後児童健全育成事業における支援であって、その提供が同時に一又は複数の利用者に対して一体的に行われるものをいい、一の支援の単位を構成する児童の数は、おおむね四十人以下とする。」
とあります。
部屋の面積
ひとり1.65㎡以上は必要
- 子どもたち同士が関係を築くことができる規模
- 子どもたちと指導員が信頼関係を構築できる規模
- 保護者と指導員、保護者同士の関係性が深められる規模
は最大で40名という理解が必要です。
人数は少なければ少ないほど、お互いのことや一人ひとりのことをよく知ることができます。
少人数保育は子どもにも指導員にもウィンウィン
適正規模と指導員数
学童保育の大規模化は、指導員の数を増やせば対応できるというものではありません。
なぜなら、保育は算数ではないからです。
100人の子どもを10人の指導員で見ても、一人で10人を見るわけではない…ということです。
子ども100人÷指導員10人=
10人みる?
この場合、保育室を完全に分割することでしか、改善策はありません。
大規模学童は「分割」が必要です。
割り算は意味無し
例えば
大きな体育館のような保育室に子どもが100人いるとします。
そして指導員が10人いるとします。
子ども10人を担当?!
子どもたちは当然、動き回ります。
10人グループを作ったとしても子ども10人がまとまって同じ行動をして一緒に生活することは無理があります。
100÷10の計算は保育では通用しません。
結局は、ひとりで100人をみる指導員が10人いる状態となり、指導員は安全を管理するためだけのルールづくりや、子どもを抑制する方法しかとれなくなってしまいます。
禁止・抑制
あれはだめ、
これもだめ、
だれのため?
逆に、例えば
その体育館のような保育室を今度は完全に壁で区切ります。
そして、部屋を5個つくるとします。
100人の子どもたちを、その5か所の部屋に分けます。
子100人÷5部屋=子20人
それぞれの部屋に生活できる設備と、それぞれの部屋に指導員が2人ずつ入れば、保育できる環境になります。
20人の部屋に指導員2人体制がとれます。
子どもとしっかりと関係を築くことができる規模は、このように分割することでしか対応できません。
ポイントは部屋が区切られていることです。
例えば、30人規模で旅行にいきます。
①大部屋に30人が雑魚寝(ざこね)する
②3人部屋が10室ある
どっちが安心で快適な旅行になるかを考えてみればわかります。
②3人部屋がいい。
しかも旅行は一泊…
学童保育は毎日…
そして、子どもの行き来は、ある程度の制限をかける必要があります。
あっちの部屋とこっちの部屋へ子どもがウロウロすると分割の意味無し…
なぜなら、分割の意味はそこにあるからです。
生活には適正規模があります。
- 子どもたち同士が関係をつくれる規模
- 指導員が子どもたちと関係をつくれる規模
安心安全な関係づくりができる規模は限られています。
完全に分割することで、子どもの生活は守られます。
→大規模学童保育が子どもたちにもたらす4つの問題点と解決方法は?
完全分離を推奨
継続的な関わり
分割後、長い時間をかけて関係づくりをしていく視点が必要です。
なぜなら、子どもが安心できる関係づくりには、時間を要するからです。
子ども同士や指導員との関係は、すぐにできるものではありません。
信頼という土台づくりからはじまり、時には長い年月をかけて育んでいくものだからです。
→学童保育指導員の仕事内容①とは?【子どもとの関係づくり編】
→学童保育指導員の仕事内容②とは?【安心と安全の関係づくり編】
子どもも指導員も、ころころ入れ替わるようでは、本当の意味での分割とは言えません。
完全分離を推奨
完全分離とは、生活を完全に分けることです。
もうひとつ学童保育をつくり、別々に生活をすることです。
別世帯…になる
分割後、子どもたちは同じ環境で継続的に生活づくりをすることが求められます。
同じメンバーで継続的に生活することは、学童保育に安定をもたらします。
そして、そこで子どもは安心に包まれ、健やかに育つことができます。
学童保育の果たす役割は、適正規模によって保障されます。
適正規模でしか、その役割を果たすことはできません。
適正規模
継続的
安定的
安心できる生活
安心できる関係づくり
安心できる関係づくりは、少ない人数の方がうまくいきます。
例えば100人対100人のお見合いパーティーでお相手を見つける場合で考えてみます。
100対100⁉
選びたい放題⁉
と思うかも知れません。
しかし、100人の性格を理解するには、時間が掛かり過ぎてしまいます。
タイムオーバー
広くあさく…
関係づくりは少人数の方がうまくいきます。
- 安心できる関係性を築きあげる…
- 相手をよく知る…
安心は信頼関係によって育まれます。
そしてその関係性は少人数の方が深まりやすいことがポイントです。
信頼関係づくりと安心
安心は、信頼関係から育まれます。
なぜなら、子どもたち同士・指導員との関係が深まることは、子どもの安心に繋がるからです。
私たちもそうです。
飲み会で例えます。
①よく知らない人たちがいる飲み会に参加する。
②親しい人、安定メンバーで飲みにいく
どちらのシチュエーションが安心できますか?
刺激を求める飲み会なら「①知らない人との飲み会」です。
そこには新しい出会いがあるかもしれません。
出会い♡
しかし、安心感を求めるのであれば「②親しい友人、安定メンバー」です。
気兼ねなく、素の自分をだせるので安心して楽しめます。
信頼♡
安心♡
学童保育でまず、大切にされるべきことで考えると安心です。
安心のシチュエーションを求めるなら②番が正解です。
親しい人がいることが安心につながります。
親しい人やよく気が知れた仲間がいて、よく気にかけてくれる指導員がいることが、子どもの安心感に繋がります。
・親しい=信頼関係
・安心安定のメンバーがいる=信頼を深められる
だからこそ、それが築ける規模と環境を整えることが必要となります。
人数が多いと、信頼関係は育みにくい
安心安定の関係づくりは適正規模で育まれます。
信頼関係づくりは安心づくり
保育の質
40人を超える規模では保育の質を保つことはできません。
なぜなら、適正規模の環境でしか指導員の技術を発揮することはできないからです。
技術とは
- 一人ひとりの子どもと関わる力
- 安心安全の関係づくり
- 学童全体の生活づくり
など、指導員として必要なすべての力や技術のことです。
→学童保育指導員の仕事の専門性とは?その関わりこそプロの技‼
これらの力と技術は、適正規模によって発揮されます。
大規模化の学童保育では保育の質は保てません。
これは、保育の質を保とうと努力している指導員を否定しているわけではありません。
例えば、「大規模化した学童保育であっても保育の質を落とさない…」という意識を持っている指導員がいるとします。
大人数でも大丈夫♪
なんとかなるし楽しむこともいっぱいできる
このような意識を持つこと事態は悪いことではありません。
その環境下で精一杯、子どもの生活を豊かにしていく考え事態はすばらしいことです。
しかし最大で40人までという理念を指導員として持つことが大切です。
人数が40名をこえると、保育の質を保つことは難しい…保つことはできない…という理念を持つことが指導員に求められます。
適正規模でしか保育の質はよくならない
指導員の錯覚
実際のところ、39人と41人の人数の違いが、保育の質に大きな違いを与えるわけではありません。
なぜなら、保育とはそういうものだからです。
数字で表すことはできない
そこで、指導員に錯覚が起こりやすくなります。
大人数でも大丈夫♪
50名なんてまだましよ…
うちの学童は70名でもがんばってるよ
指導員の感覚が鈍ってしまうことがあります。
これが、さっかく…
もちろん70名に比べると、50名の方が保育はやりやすいか知れません。
しかし、50名は大規模学童です。
40名をこえると大規模学童
1人ひとりと信頼関係を築ける規模は、何度も繰り返しますが、40名までです。
大げさに聞こえるかもしれませんが、児童数が41人の場合は、21人と20人に分割することが望ましいということです。
実際は、40名と41名…や50名での生活の影響や子どもの状態の違いを問われると、具体的には示しにくく、表現しにくいものです。
だから指導員の力量でカバーできるように錯覚してしまいます。
大人数でも大丈夫♪
なんとかなるし楽しむこともいっぱいできる
しかし、それは錯覚です。
指導員は子どもにとって一番いい環境で保育できているか…について振り返ることが必須です。
子どもが41人の場合は、21人と20人に分割
錯覚しないように、意識を持つことが大切となります。
指導員の力量に頼るのではなく、最大で40人までという決まりを確かめ合うことが重要です。
運営指針
設備運営基準
まとめ
適正規模は最大で40名までです。
少ない人数…
関係は深まる
40人を超える場合は、分割して20名と21名にするのが望ましい考え方です。
40人を超える規模では保育の質を保つことはできません。
40人こえると無理…
- 子どもたち同士の関係性
- 指導員と子どもとの関係性
は適正規模によって育まれます。
大人数でも大丈夫♪
なんとかなるし楽しむこともいっぱいできる
と錯覚している場合ではありません。
適正規模の環境を整えるため、40名をこえたら「分割する」意識を持つことが求められます。
さいごに、適正規模のメリット集をお届けします。
子どもから見た適正規模のメリット集‼︎
- 自分をよく見てもらえる
- トラブルに早く気づいてもらえる
- 落ち着く
- ケンカの理由などをじっくり聞いてもらえる
- 大声を出して話をしなくてよい、されないですむ
- イライラしなくてよい、されないですむ
- 密にならない
- 先生に「ちょっとまって」「あとでね」と言われない
- 異年齢であそべる
- みんなの顔と名前が一致、性格までわかる
- みんなに自分のことをわかってもらえる
- 主体的に活動できる
- 無駄に順番を待たなくてよい
- ジャンケンの確率があがる
この適正規模メリットができない環境というのが「学童保育の大規模化」です。
大規模学童は
メリット0…
適正規模の保育を求め、子どもの権利を保障する
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
じゃーねー