大規模学童保育にはどんな問題があるの?
どうやって解決すればいいの?
大規模学童は問題だらけ・・・
解決方法はひとつだけ・・・
今日は大規模学童の問題点についてイオピーマンなりに簡単にわかりやすくお伝えします。
この記事を読むことで、大規模学童の問題点と解消方法が理解できるようになります。
そうなることで、関係機関などにその問題を整理して伝え、分割に向けて動き出す準備ができるようになります。
また、大規模学童の問題を考えることで、本来大切にされるべき学童保育の役割について学ぶことに繋がります。
現在大規模化の学童にも、そうでない学童にも有益な情報となっています。
どうぞ、最後までお付き合いください。
大規模学童保育の問題点
大規模学童保育には問題点しかありません。
メリットはひとつもありません。
ひとつも?
学童保育の役割をきちんと果たそうとする場合は、デメリットしかありません。
なぜなら、適正な規模でしか子どもたちの本当の安心や安全は守れないからです。
保育の質は適切な規模と環境により、守られます。
学童保育の適正規模って何?40名以上で分割が必要な理由とは?
大規模学童になると、次の4つの問題点が主に子どもたちを苦しめます。
子どもたちからみた問題点です。
①しっかり見てもらえない
子どもの人数が多くなると、指導員が1人ひとりの子どもと関わる時間と内容は薄れてきます。
もっと私をみて・・・
子どもたちは言葉に発しなくても、そう思っています。
また、指導員は目立つ子どもや主張ができる子と関わる機会ばかりが増えていきます。
それは、困っている子に気づかないケースが増えてくるとも言えます。
そしてそれは、大人しい子どもや手のかからない子どもに目を向けることは少なくなってしまうことにも繋がります。
あとまわしになっている間に時間だけが過ぎていきます。
このような状況では、1人ひとりと信頼関係を育むことはむずかしくなります。
子どもたちの
聞いて・・・
困ったよ・・・
と言う声に耳を傾けることができません。
そして、いざ子どもたちの話を聴こうとしても、その関係性ができていないケースも生じます。
俺の本音は出さないぜ…
普段からの関係性ができていないと、安定した生活を送ることがむずかしくなります。
これは、大きな問題です。
②ゆったりと過ごせない
人数が増えるとゆったりと過ごせるスペースが少なくなります。
例え、ゆとりあるスペースだけ確保されたとしても、人数が多いとゆったり過ごすことはできません。
なぜなら人数が多いと騒がしくなるからです。
全体的に騒がしくなると、友達同士の話声が聞こえにくくなります。
だから、会話の声はさらに大きくなります。
その声が大きいので、さらに大きな声を出して会話をせざるを得ない状態となります。
カラオケボックスの中で会話するときと同じ状態のことです。
しゃべるとき大声になるなる♪
これでは、ゆったりできません。
巨大カラオケボックスの中に、子どもたち50人が押し込められていると想像します。
みんな歌います。
マイクで⁉
カラオケパーティーが目的なら盛り上がるかもしれません。
しかし、ゆったりと過ごすことが目的であればその規模と環境はふさわしくありません。
③トラブルが多くなる
人数が増えるとトラブルが多くなります。
なぜなら、イライラすることが多くなるからです。
ストレスを感じる機会が増えるからです。
・イライラに気づいてもらえない。
・なかなかあそびが決まらない。
・なかなか意見が合わない。
・ぶつかり合う。
・順番が長い。
・うるさい。
・騒がしい。
大規模学童になると、トラブルが大きくなってからでないと、指導員が気づかないケースが多くなります。
指導員の目が行き届きにくくなるからです。
また、ひとつのトラブルを対応している間に、別のトラブルが発生することも頻繁に起こり得ます。
指導員は、複数体制でカバーし合いますが、それらの対応に追われる状態が続くことで指導員も疲れ果ててしまいます。
子どもも指導員もお互いにイライラが積もり、ストレスが溜まります。
これらが大規模学童でトラブルが多くなる理由となります。
④自由度がなくなる
人数が増えると子どもたちが自由に過ごしにくくなります。
なぜなら、安全確保やトラブル防止のために管理的な保育をせざるを得なくなるからです。
ルールや決まりごとが多くなり、制限を強くかけないと、子どもたちの快適な生活が保障されないことが起こり得ます。
- あとで宿題はできません。
- あとでおやつは食べれません。
- あのあそび方はダメ。
- あそこであそぶのもダメ。
- 折り紙の使える数は1日2枚まで…
しかし、ルールを厳しくすることと子どもたちの安心安定はイコールではありません。
子どもたちが自由な時間を好きなように使って過ごることが、子どもたちの安心と安定に繋がります。
このように苦肉の策であっても管理的な保育をしてしまうことは大きな問題となります。
唯一のメリット?
大人数でも一つくらいメリットあるんじゃない?
色んな子と出会えるし…
あそびももりあがるし…
このように人数が多いことで
・色々な子どもと関わることができる…
・あそびがダイナミックになるのでおもしろい…
と捉える人もいるかもしれません。
その意見も否定できません。
いろいろな価値を学び、豪快にあそべる機会が生まれることも事実です。
・友だちとうまくいかなくても、別の友だちが他にもいる…
・みんなでドッジボールをしたり、鬼ごっこしたら盛り上がる…
これにより救われる子どもたちがいるかも知れません。
これらは一時的には子どもたちのメリットとなるようにも感じます。
しかしそれは、一時的にです。
だから大規模でもいい
ということとは繋がりません。
なぜなら学童保育の本来の目的と役割からは離れていることを理解しておく必要があるからです。
人数が多くて
楽しい・・・
ことより、子どもたちが安心できる関係づくりに視点をおくことが本来の役割に近づきます。
少ない人数の方が子ども同士の関係は育みやすくなります。
まずはそれが保障されるべきだからです。
子どもたちの安心が保障される生活の場としての意味をもつ学童保育では、それらの機会はオプションでしかありません。
それらの機会とは、色々な子との関わりやダイナミックにあそぶことなどです。
最優先されるのは、安心できる関係づくりの方です。
それは、適切規模からしか育むことができません。
学童保育は生活の場だからです。
大規模学童になってしまうと、このような①~④の問題が子どもたちに降りかかります。
子どもたちに・・・
というのがポイントとなります。
子どもたちの問題は、保護者や指導員の問題とも繋がっています。
スーパー指導員の力量…
大規模学童保育の問題は指導員の力量でカバーできるものではありません。
どんなに経験があっても、どれだけ子どもの心に寄り添えるプロでも、何人もの子どもを束ねる統率力があっても関係ありません。
なぜなら、その土俵が違うからです。
ノコッタ
ノコッタ
学童保育指導員は、適正規模での保育でしか、その力を発揮することはできません。
子どもたちをしっかり見れる規模と体制が整っていてこそ、その専門性が活かされます。
・短距離ランナーはマラソンでは勝てません。
・外科医は病気を治せません。
大規模保育と適正規模保育では、同じ仕事をしたとしても大きな違いがあるということです。
それには理由があります。
指導員が1人で見れる人数には、限りがあるからです。
30人学童でも50人学童でも100人学童でも、1人の指導員が全員の子どもたちを見ることに変わりはありません。
私は40人までしか子どもの名前を覚えません‼
責任は取りません‼
というわけにはいかないからです。
10人の子どもと関わるのと、100人の子どもと関わるのとでは、保育の質に差が生じることは言うまでもありません。
それは、経験や知識やパワーで何とかなるものではありません。
もし、何とかなっている状態と感じる場合があれば、一度、その保育を疑ってみる必要があります。
子どもたち1人ひとりのことをしっかり見れているか・・・
その子の小さな心の動きや変化まで捉えてキャッチできているか・・・
このような振り返りが私たちに求められます。
適切規模の保育でこそ、私たちの力は最大限に発揮されます。
指導員として、それを肝に銘じておくことが求められます。
では、大規模学童の問題はどうすればいいのでしょうか?
その答えはひとつです。
分割あるのみ
大規模学童保育の問題は、分割することでしか解消できません。
分割以外の解決方法はありません。
それも、完全に分離した分け方でないと意味がありません。
完全分離とは、
- 建物など空間が分けられている
- それぞれで生活ができる設備と環境が整っている
- 子どもたちは、それぞれの部屋で過ごす
- それぞれに専任指導員がいる
これらの条件をすべて満たすことが完全分離となります。
生活を完全に分離することで適正規模の保育が行えるようになります。
指導員も子どもたちも分割後は長く同じ学童で過ごす方が保育の質はあがります。
それ以外の分割方法では、大規模学童の4つの問題点がなくなることはありません。
指導員と保護者と運営機関、行政などが協力することで、大規模学童の解消に向けて取り組むことが求められています。
子どもたちのために…
まとめ
大規模化が進むと、子どもたちに降りかかる問題も大きくなります。
そして4つの問題は負のスパイラルを巻き起こし子どもたちを苦しめます。
①しっかり見てもらえない
②ゆったりと過ごせない
③トラブルが多くなる
④自由度がなくなる
学童保育所は本来、子どもたちが自由に好きなことをして過ごせるところです。
そして、子どもたち同士や指導員との信頼関係を軸に、安心できる生活を育むところです。
安心できるところには、安心できる環境が必要となります。
その一つは、人との関係性です。①
自分のことをよく知ってくれる仲間や指導員の存在が不可欠となります。
安心は、人と人との関係から培われます。
よく見てもらえる、よく知ってもらえる環境が安心の心を耕してくれます。
また、安心できる環境には、ゆったりと過ごせる空間が欠かせません。②
ぎゅうぎゅう詰めの生活からは安心感は生まれません。
ひとり当たり1.65㎡以上のスペースを確保すること、1つの支援の単位はおおむね40名までであることは最低基準となります。
設備運営基準だね
さらに騒音のない環境であることも求められます。
カラオケボックスの中にいるような生活からは安心は生まれません。
それらの環境が保障されないと、問題は膨れ上がります。
それがトラブルです。③
子どもたちは、大規模化が進むとストレスの量も膨れ上がります。
希薄な人間関係の中で、体がぶつかり合うような環境下では穏やかに過ごすことはできません。
イライラしてケンカが頻繁におこるようになってしまいます。
そのような状況が続くことで、指導員もイライラして保育をしてしまうことに繋がります。
そして指導員は管理的な保育をせざるを得ない状況に陥ります。
問題を防ぐために、ルールや制限を強いられる保育になりがちになります。
これが、子どもたちの自由度を奪うことに繋がります。④
この①~④の問題点が子どもたちに悪影響をもたらす負の連鎖となります。
安心できる環境が保障されないことが、子どもたちの生活を乱す要因となります。
そしてこれらは、指導員の努力次第でなんとかなるものではありません。
どれだけ優れた指導員であっても、大規模学童で質の高い保育を展開することはできません。
指導員は、適正規模の環境下でこそ、その力が発揮されるからです。
では、大規模学童になってしまった場合はどうすればいいのでしょう?
それは、完全分離の分割をすることです。
それぞれの部屋でそれぞれの生活ができるように設備を整え、子どもたちと指導員も別れて保育する環境になることで問題は解消されます。
これには、指導員だけでなく、保護者や関係機関との協力が必須となります。
大規模化解消に向けて、指導員として現場の困りを発信することが求められます。
また、大規模学童の問題点は、学童保育で大切にされるべきものの裏側にあります。
①しっかり見てもらえる
②ゆったりと過ごせる
③トラブルが少なく快適
④自由に好きなことができる
このような環境が学童保育で大切にされています。
子どもたちにとって、今、この生活がどうなのか・・・
その視点を常に持ち続ける指導員でありたいと思います。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
じゃあねーっ