子どもの権利を保育にどう活かすの?
子どもの意見ばかりを聞いていていいの?
それそれ
そこが難しいよねー
今日は学童保育で子どもの権利(子ども主体の理念)を保育に活かす方法についてイオピーマンなりに簡単にわかりやすくお伝えします。
この記事を読むことで、子どもの権利にのっとる保育を展開できるヒントが得られるようになります。
そうなることで、子どもたち一人ひとりを大切にする関わり方と生活づくりについて理解できるようになり、さらに子ども主体の理念が学童保育に浸透し、子どもたちが明るく幸せで豊かな放課後を過ごせることに繋がってきます。
こんな学童保育が
最高‼️
素敵‼️
と思えるきっかけとなることができるとうれしいです。
どうぞ最後までお付き合いください。
子どもの権利とは⁉
子どもの権利は大きく4つに分けられます。
ざっくり
・生きる権利
・育つ権利
・守られる権利
・参加する権利
そして子どもの権利条約には柱が4本あります。
- 差別の禁止
- 子どもの最善の利益
- 生命・生存・発達の権利
- 意見表明権
これらはすべての子どもたちが生まれながらに持っている権利です。
だから、すべての子どもたちは幸せに過ごす権利がある…ということです。
当然、学童保育に通う子どもも同じです。
児童福祉法
- 第一条 子どもの権利条約の精神にのっとり…
- 第二条 子どもの意見が尊重され、最善の利益が優先して考慮され…
放課後児童クラブ運営指針
第一章2、放課後児童健全育成事業の役割(2)
「児童の権利に関する条約の理念に基づき、子どもの最善の利益を考慮して育成支援を推進する…」
このように、子どもの権利の精神や理念にのっとる保育をすることが明記されています。
子ども主体の理念‼
私たちが大切にするべき子どもの権利です。
では、その子ども主体の理念にのっとる保育について深めていきます。
子どもの権利と関わり方
子どもの権利を活かす関わり方とは、「子どものやりたいことを指導員がすべて受け入れなくてはならない…」というわけではありません。
えーっ!?
そうなのー
なぜなら、そこに権利の矛盾が生じてしまうからです。
ケンリ⁉
ムジュン⁉
子どもの権利を考えるときに
- 子どもの意見だから、すべて言うことを指導員が聞かないといけない…
- 子どもが好き勝手するのをそれも子どもの権利だから、指導員は全部認めないといけない…
と考えてしまうことがあります。
だって、そうなんでしょ‼
子ども主体の理念って
そういうことなんでしょ‼
これまで子どもの権利について
「子どもにとって一番いいこと」を追及し支援することが指導員として大切である…と述べてきました。
⇒【学童保育】子どもの権利とは?子ども主体の理念にのっとる保育‼
しかし、一人の子どもの権利だけを優先すると、他の子どもたちの権利を守れなくなってしまうことがあります。
例をあげると…
おやつを食べる時間に、おやつを食べずに大声で歌を唄う子ども(きゅうり君)がいるとします。
きゅうり君にとっても学童保育は、自由時間なので歌を唄う権利があります。そして、「おやつを食べないこと」を自ら選ぶことができるとします。
オレの自由だ‼
おやつはいらん‼
しかし、他の子どもたちは「きゅうり君に静かにしてもらいたい…」と思っているとすると、そこに権利の矛盾が生じてきます。
なぜなら、他の子どもたちは、学童保育で快適に過ごす権利があるからです。
その子達は、ゆったりとした気持ちで、おやつを楽しく食べる権利があります。
あるある
こういうこと保育では
よくある光景だね
そこで、指導員は言葉がけに悩みます。
- きゅうり君を優先⁉
- みんなのを優先⁉
- 多数決で決める⁉
- ルールや規則をつくる⁉
さらに、他の指導員と相談すると
これはきゅうり君のただの
わがままじゃない⁉
となり
子どもの権利って何?
子ども主体って何⁉
となってしまうことがあります。
当然、みんなを優先するべきでしょ
きゅうり君は静かにして、みんなと同じようにおやつを食べるべきよ‼
この例に限らず、学童保育は集団生活であるので、このような機会は多々あります。
あるある
わかるわかる
ここでポイントがあります。
それは、「どちらかを優先させる」という考え方をしない…ということです。
子どもの権利を考えるときのポイントは、黒か白かをはっきりさせる必要はない…ということです。
子どもの権利は100:0ではない
子どもの権利に「どちらかを優先させる」という考え方は必要ありません。
なぜなら、私たちは、社会全体がよくなるように、権利を利用する責任があるからです。
権利を使う責任⁉
社会全体がよくなる…というのはバランス、調和の取れた社会の意味です。
学童保育でいうと生活内容のことです。
バランスや調和のとれた生活内容…
誰かの権利だけが尊重されて、他の誰かの権利は大切にされないことがないように調和する責任が私たちや子どもたち自身にあります。
このことは公共の福祉の考えと似ています。
コウキョウ
ノ
フクシ⁉
子どもの権利は、子どもたち全員が持っていて、それは優劣をつけるものではありません。
- おやつの時間に歌を唄うきゅうり君の権利だけを受け止めて、他の子どもたちは、我慢しなくてはいけない…
- きゅうり君を我慢させて、他の子どもたちが静かにおやつを食べられる権利だけを認める…
これは、どちらかの権利を優先させた例となります。
これでは100:0の関係になってしまっています。
えーっ
じゃあー
どうするのー
ここで公共の福祉の考えをヒントにします。
公共の福祉…
公共の福祉とは、「人権と人権の矛盾や衝突を調整する原理のこと」です。
これは日本国憲法に記されています。
基本的人権の尊重…
公共の福祉にも色々な捉え方があるみたいですが、簡単に言うとそれは、
お互いの人権を大切にできるように、ルールを定めたり、折り合いをつけることです。
・タバコを「吸う人」と「吸わない人」を分煙する(ルール化)
・ゴミ屋敷を近隣の迷惑にならない範囲で片付ける(折り合い)
公共の福祉に反しないように…
ここでポイントがあります。
「公共の福祉に反しないようにすることで、人権は守られる…」とも捉えがちですが、正しくは、少しニュアンスが異なります。
えーっ⁉️
「人権を守るために、公共の福祉がある…」という考えが正解です。
似ているけど
少し違うの⁉️
これは、個人の人権の方が上にあり、その人権を守るために社会のルールがある…という視点です。
お互いの人権を尊重するために公共の福祉の原理が存在します。
それが社会のルールのために妥協するのとは、少しニュアンスが異なる理由となります。
何となく理解…
話を「学童保育に子ども権利を活かす関わり方」に戻します。
一人ひとりを大切に…
子どもたち一人ひとりを大切にする学童保育が子どもの権利を守ることと結びつきます。
それは、一人ひとりの思いや願いが実現できる生活づくりを、みんなで調整していくことです。
学童保育の「公共の福祉」について、みんなで考えていく作業とも言えます。
コウキョウ
ノ
フクシ⁉
きゅうり君の思いを大切にしながら、みんなの思いも大切にする生活づくりです。
・きゅうり君はおやつを食べなくていいから、違う場所で歌を唄うのはどうか?
・別の機会に、きゅうり君のコンサートを催すから、おやつの間は静かにするのはどうか?
・小さい声で壁側を向いて、きゅうり君が唄うのを、ほかの子達に了承を得るのはどうか?
など、生活のバランスをとる上で、調和や打開策、折り合いをつけることが、一人ひとりの思いを大切することとつながってきます。
ここでも公共の福祉と同じポイントがあります。
みんなの生活やルールを守るために
- みんなが我慢する
- みんなのルールに合わせる
というのは少しニュアンスが異なります。
エッ…
これも違うの⁉
一人ひとりの思いや権利を大切にするために…
- みんなが我慢する(折り合い)
- みんなのルールに合わせる(ルール化)
ことを行います。
ポイントは、一人ひとりの思いや権利を大切にするために…です。
これは目的が一人ひとりの権利のためなのか、社会のルールのためなのかの違いとも言えます。
何となく理解…
学童保育の生活の中で、一人ひとりの子どもの権利に目を向けて、その権利を保障することは容易ではありません。
保育環境の不十分さや指導員不足などにより、子どもたちの生活が落ち着かない状況の学童保育も存在します。
劣悪な環境…
すると指導員はルールを強化したり、トラブルを排除することばかりに目が向き、子どもたちにとって最もいい働きかけができなくなってしまいます。
子ども主体の理念のはずが…
しかし、
子ども主体の理念を大切にしたいと思っているけど実現できない…
のと、はじめから子どもの権利を
- 大切にする気がない…
- 興味なし…
と思っているのは、雲泥の差です。
天と地の差…
まとめ
子どもの権利は大きく4つに分けられます。
・生きる権利
・育つ権利
・守られる権利
・参加する権利
そして子どもの権利条約には柱が4本あります。
- 差別の禁止
- 子どもの最善の利益
- 生命・生存・発達の権利
- 意見表明権
これらはすべての子どもたちが生まれながらに持っている権利となります。
そして当然、学童保育に通う子どもも同じです。
学童保育で子どもの権利を大切にする関わり方は、「どちらかの権利を優先させる関わり方をしない…」ということです。
なぜなら、子どもの権利は100:0ではないからです。
白黒・甲乙つけない
ポイントは「公共の福祉」の考え方です。
一人ひとりの子どもの権利を大切にするために、「公共の福祉」の原理があります。
バランスとる…
調和する…
妥協、折り合い、ルール化…
それはルールを守るために、みんなが我慢するのではなく、一人ひとりの子どもの権利を大切にするために、みんなが打開策を考える生活づくりです。
学童保育で子ども主体の理念の保育を行うことは、容易ではありません。
しかし
子どもたち一人ひとりの思いや権利を大切に、みんながWin-Winになる学童保育を求めながら、毎日子どもたちと関わっていく使命が私たち指導員にはあります。
なぜなら、そこに、子どもの権利(子ども主体の理念)があるからです。