【体験談】大規模化の学童保育で大切にしてきた分割方法とは?
新人の質問
どうしてうちの学童は、こんなに人数が増えているのですか?
先輩指導員
新人だから、うなずくしかない
大規模学童になると、保育の質は低下してしまいます。
そしてその解決方法は「分割」しかありません。
体験者
今回は「学童保育の分割」についてイオピーマンなりの体験談をもとに簡単にわかりやすくお伝えしていきます。
この記事を読むことで、大規模学童の分割のヒントが得られます。
そして学童保育で大切にされるべき視点や考え方について理解できるようになります。
そうなることで
- これから分割をするところ…
- 分割しているけど疑問が湧いている方々…
にとって一つの参考になる機会に繋がるかも知れません。
どうぞ、最後までお付き合いください。
もくじ
大規模学童の解消
大規模学童問題の解決方法は分割しかありません。
適正規模に分割することで保育の質を守ることができます。
➔学童保育の適正規模とは?おおむね40名でもギリギリの人数⁉
➔大規模学童保育が子どもたちにもたらす4つの問題点と解決方法は?
は各学童でいろいろです。
現状、実情は様々です。
分割した事例があったとしても、全ての学童に当てはまるものではありません。
当時は地域の連絡協議会(各父母会の連合組織)による民設民営の学童保育でした。
雇用主は父母
保育料は連絡協議会が集めます。
指導員は保護者によって雇われている関係です。
共同保育…
各学童保育所の施設は、行政が建設し、人件費の半分を補助金として行政が負担する運営です。
民設民営だけど施設は行政が建てている状態です。
新人当時はそれも、よくわかっていない
分割に向けて…
先輩指導員
ここは大規模学童だからね
来年は100名くらいになるかもね
新人
えーっ!100名ですか?
それって
多いの?少ないの?
当時は学童の適正規模について理解していませんでした。
私が指導員1年目の当時(2003年)、84名の子どもたちが登所していました。
そして年々、子どもたちの数は増加傾向にありました。
指導員2年目で「大規模学童プロジェクトチーム」に入ります。
指導員2年目
大規模学童プロジェクトチーム(5〜6名)は父母会の有志と指導員で構成されていました。
先輩指導員
これからは分割よ‼
行政に施設を建ててもらうように計画するのよ‼
リスペクト
➔【体験談】学童保育指導員になるまでの道のりと先輩からの学びとは?
- 行政へ第二学童の建設要望
- 施設面のレイアウトなどの提案
- 子どもたちの分割方法
- 保育のやり方
について有志で夜に集まり検討を繰り返しました。
まだ無知
指導員3年目の当時、児童数は118名になりました。
やっと実感
きちきち
ぴちぴち
ぎゅーぎゅー
大規模学童は
保育にならない…
現在公設化となり、定められている施設の定員数は76名です。
同じ部屋です。
換算すると現在の定員数の1.5倍以上の子どもが当時は詰め込まれていた状況でした。
大規模学童プロジェクトチームは、毎月の父母会で進行状況を確認し合います。
そして連絡協議会と一緒に分割について行政に訴えかけます。
このタイミングで隣の小学校が廃校になります。
そして、そこの地域の子どもたちのほとんどが、こっちの学校に通うことになる…ということも重なり、学童保育の人数はさらに増えることが予想されました。
絶体絶命
この廃校の流れはもちろん数年前からわかっていたことなので、プロジェクトチームと連絡協議会の分割に向けた運動の手応えはありました。
そして、第二学童の建設が始まります。
あせる3年目
そして指導員4年目(2007年)第二学童がオープンします。
今までの学童が第一学童となり、私が中心で保育を行うことになりました。
新しくできた第二学童はパワフルな先輩指導員になりました。
二つの学童は隣接しています。
おびえる4年目
どんな分割?
それぞれが完全に分離をして保育をする形をとりました。
子どもたちも指導員も完全に分かれるパターンです。
それぞれの学童で生活します。
子どもたちは運動場であそぶ時は一緒ですが、使う遊具もおもちゃも別々です。
2つの部屋の子どもの行き来も基本的になしです。
おやつも別々で運営費も、それぞれで会計します。
まずは2つの学童に完全に分離できるように、指導員たちが意識するところから、はじめていきました。
- 仲の良い友だちと違う学童になる
- 相性がよくない友だちと一緒になる
- 指導員と子どもの相性
- 保護者同士の関係
- 指導員と保護者の関係など
- 保育の質に差が出る
- 比べる…
完全に分離することで生じる問題は沢山あります。
しかし
1番大切にしたいことは、子どもたちが安全で安心できる環境です。
一時的に留まる部屋ではなく、長期的に安定して安心できる空間が子どもたちに必要です。
なぜなら、それが学童保育の意義であるからです。
そして、適正規模で保育される子どもの義務と権利だからです。
そのために
- 気が合わない友だちとも長く一緒に過ごすことで、お互いを理解し合う。
- 指導員は責任をもって、子どもたちと信頼関係を紡ぐ。
を大切にしていくことになりました。
分割当初の3年間ほどは、ルールの確認や指導員の連携について模索してきました。
合同の行事のあり方や、共通認識する事項など、その都度、時間をとってみんなで決めていきました。
戸惑い
今思うと…この期間に、指導員の入れ替わりが少なく、みんなで模索できたことがよかったように思われます。
分け方は?
在籍していた子どもたちは、その時の人間関係を考慮して、第一と第二に分割しました。
先輩指導員
学年男女のバランス
だいたいでもいいんじゃない⁉
あなた達で決めなさい‼
何日も子どもたちと話し合いました。
新1年生は、入所時にくじを引き、所属学童が決まります。
きょうだい関係は同じ学童に入ります。
そして、卒業するまで同じ学童で過ごします。
当時は不安
それについて父母会でも話をしました。
保護者
もっとゆるく分けた方がいいのでは?宿題の部屋として分けるのでもいいんじゃない?
学校は一年ごとにクラス替えがあるように、学童でもクラス替えをしてほしいしその方が、子どもにも、先生にもいいのでは?
くじ引きで仲良しの友達同士が分かれたら、かわいそうよ…
という意見なども様々ありました。
そこで先輩指導員が語ります。
先輩指導員
学校は教育の場所です。
学童は保育の場所なので、学校とは役割が違います。
学童保育は、家庭のようなところです。
家庭に近い雰囲気で、子どもたちと指導員が関わることを大切にする場所です。
家庭的な空間で生活できることは、何よりも子どもたちの安心に繋がります。
家族はころころ変わるものではありません。
だから、学童保育の子どもたちもコロコロ入れ替わるべきではありません。
しかし
友だち関係も指導員との関係も、相性みたいなものはあります。
すぐに、いろいろな問題を解消できるわけではありませんが、少しずつ理解し合い、認め合える関係を築き上げていく。
子どもたちと指導員が毎日、寄り添い、支え合う中でお互いの関係を育んでいきます。
そんな居場所づくり、生活づくりをするところが学童保育であると感じています。
先輩指導員
第一学童も、
第二学童も、
指導員は一生懸命がんばります。
応援してください。
先輩指導員の人徳もあって、完全分離の保育をする方向に決まりました。
そして2017年、更に大規模化となり、第3学童が建設されました。
分割反対派
高学年だけが使う学習部屋にするのはどうか?
完全に分割する必要はないのでは?
という意見もありましたが、指導員は当時と同様の思いで完全分離の保育を進めました。
意思を受け継ぐ者
最初に分割して今日まで14年間、それを大事に保育をしてきています。
完全分離の正解
答えは6年後に形を整え、
12年後には確信できました。
二つの学童が隣接していると、比べられることも多くあります。
まさにお隣さんの感覚で、足りないおやつを借りたり、冷蔵庫にものを入れさせてもらったり、その他もいろいろな面で協力はします。
分割のやり方や考え方は、色々あっていいと思います。
その都度、今の子どもたちにとって一番いいこと…最善の利益を考える視点があれば大丈夫と思っています。
しかし、私の学童の場合は、この方法が大正解であったと胸を張って言えます。
さいごに…
「分割の一歩が踏み出せない」でいる指導員、保護者の方もおられると想像します。
なぜなら、想像通り分割には気力、体力が相当いるからです。
考えなければならないことが山ほどあります。
簡単にできるものでもありません。
分割には場所と施設…お金、人が必要です。
経験者
そして、そもそもの疑問が湧いてきます。
そんなこと、指導員が考えることではないんじゃない?